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菩提樹の木陰で思ったこと

菩提樹は、木のかたちをした愛だった。

菩提樹とはブッダがその下で悟りを得たという木で、スリランカの寺院に必ずある三つの要素の一つ。

縁あってスリランカで初めて立ち寄った寺院。そこにも当然菩提樹はあって、私はそれを見た瞬間、訳も分からず胸がいっぱいになって涙が溢れてしまった。

光だった。この世界をあまねく照らすような温かさと明るさが、後から後から胸に流れ込んできた。物質としては確かにそこに大樹があるのに、光以外何もないようだった。これが愛だ、と思った。

木の周りを歩きながら水をかけてマントラを唱えている家族がいた。私が木に感じ入っているのを見てか、手に持っていた甕(かめ)を手渡して、私にも同じように祈るよう促してくれた。周囲を回りながら水をかけて、最後に願いごとをするといいようだった。私は、愛しか勝たんなーと思いながら、

傷ついてもいいから愛でいたい光でいたい

光の意識で生きられますように

愛でみんなを照らせますように

じぶんのことにいのちを使えますように

笑っていられますように

というようなことを思った。この木のようになりたかった。この木が日本にもあればいいのに、そしたらいつでもこの光のような意識を思い出せるのに。なければ私がこの木のようになれたらいいのにな、と思った。ただ、それは本心だったけれど、だけど抽象度が高かった。抽象度を下げたとき、私は私が何を望んでいるか分からなかった。私は私のことを何も知らなかった。

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