美やアートを前にしたときに経験する、共通した感覚がある。それは、時空を超えてイメージや体感が流れ込んでくる感覚。
美術館を歩くことは「時の回廊をゆくようだ」と思っていた。
日本美術展では、千年の時を超えて制作者の(それは、自分と同じ種類の)魂と再会するのを感じた。
ニケの前に立ったとき、その船首が嵐の中へ漕ぎ出していくように、激しい雨風が顔に打ち付けるのを感じた。ニケの顔がまだあった頃、そうだったのだろうという確信があった。
自然な感覚すぎて意識していなかったけど、これらの時空を超えた感覚こそが「すべて(つながっている)」の感覚だったのだと気づいた。
最初の一音を待つコンサートホールの張り詰めた空気に魂が救われる想いがするのも、息を呑むその瞬間、私が「無心」だったからだろう。
創造することはもとより、美を認識することも「いま」の領分。美とともにあるとき、私たちは「すべて」の意識場にあることができている。だから美やアートに惹かれるし、時に強く救われる。
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